「IDMバトン」14人目は、IDM TOKYO 2018のグラフィックデザインを手掛けるSano Minami Design Office 佐野 みなみ。
佐野氏は、グラフィックデザインを分析&整理だと考えます。
グラフィック視点で敢えて個人的な考えを話すとすれば
私の場合、「デザイン」とは「分析をして整えること」に尽きます。
クライアント様が求める要望を読み解き、整理し、時には樹形図のように傾向を分析する。
時代の流れやユーザビリティも考慮し、限られた制約の中でベストだと判断される「バランス」に整えていく。
その「バランス感と判断」にアートディレクター個人としての色が滲み出ますが
あくまでも主役は、ユーザーであり、商品であり、プロジェクトであり、ブランドであり、クライアントなのです。
・企業の顔であるロゴが、できる限り視認性が保たれるようにロゴ規定を設け、
・ブランドが体現したいコンセプトに沿って、ブランドカラーやフォントの種類を選び
・プロジェクトが伝えたい文章が読み手に雑念なく届くように、文字間を決め、文字詰めをして整える。
その作業を担当する職人がグラフィックデザイナーであり
その提案と判断を下せる美術監督がアートディレクターなのだと私は思います。
その判断を下すには、その場で手本を見せることができるだけの知識や経験も必要であり
グラフィックデザイナーを経験してアートディレクターに昇格するケースがとても多いです。
アートディレターやグラフィックデザイナーと聞くと、
華やかな役職に聞こえるかもしれませんが
少なくとも私の場合、全く華やかではありません。
分析と考察、実験と実践の繰り返しは
私がかつて携わっていた化学の研究にも近い、とても理系的で地道な仕事だと感じます。
(私はかつて東京理科大学の大学院でプロトン電子電動系錯体について研究をしていました)
インテリア業界とは違う、一歩引いた目線で、
IDMの発信するコンセプトを分析し、整え、形状化したものが
ロゴとなり、webサイトとなり、印刷物となり、壁面グラフィックとなっています。
インテリア業界20以上の関連団体による合同イベント「IDM TOKYO 2018」。
主役はもちろん展示される作品たちや、その作り手ですが
少し「グラフィック」にも視線を向けて展示会を楽しんで頂けたら幸いです。